突然の解雇で受け取った手当は正しい金額?自分で計算する方法|平均賃金の計算式を社労士が解説

平均賃金

ある日突然、解雇を告げられた。
手当は払われた。でも、その金額は本当に正しいのか
そう感じたあなたは、正しい疑問を持っています。

結論から言います。解雇予告手当の金額は、あなた自身で計算して確認できます。
もし計算が間違っていれば、不足分を請求することが可能です。
現役の社会保険労務士として、正しい計算方法をわかりやすく解説します。

この記事でわかること:

  • 解雇予告手当の基本ルール
  • 平均賃金の計算方法(基本と応用)
  • 給与の種類で締切日が異なる場合の計算方法
  • 金額が少なかった場合の対処法

解雇予告手当とは?あなたが受け取るべき権利

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解雇通知書と計算機が置かれた机のイメージ

解雇予告手当とは、会社が予告なしに即日解雇をする際に支払う義務のあるお金です。
根拠は労働基準法20条1項です。

「30日前ルール」と解雇予告手当の関係

会社が解雇を行う場合、30日という猶予期間が法律に組み込まれています。この期間分、あなたには準備する時間が保障されるべきだという考え方です。

具体的には、30日前までに解雇を通知するか、それが間に合わない場合は、通知日から30日に満たない不足日数に対応する平均賃金を支払うかの、どちらかが会社に求められます。これが「解雇予告手当」です。

📌 ポイント:今日解雇通知を受けた場合は30日分の平均賃金が必要です。15日前に通知を受けた場合でも、残り15日分の手当の支払い義務があります。

手当が支払われなければ解雇は無効になる

解雇予告手当は、解雇が成立するための条件として機能します。手当が支払われた時点で初めて解雇の効力が確定し、支払いのない即時解雇はその段階では無効という扱いになります。

つまり、あなたへの解雇通知と手当の支払いは同時に行われる必要があり、後から払うという対応は原則として認められません。

⚠️ 注意:「手当は後で払います」という約束は原則として認められません。解雇通知を受け取ったら、同時に手当が支払われているか必ず確認してください。

平均賃金の計算方法

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給与明細と計算用紙のイメージ

解雇予告手当の金額の土台となるのが「平均賃金」です。あなたが普段どのくらいの賃金を受け取っていたかを示す数値で、労働基準法12条に計算方法が定められています。

基本の計算式

平均賃金 = 直前3か月の賃金合計 ÷ 直前3か月の総日数

「直前3か月」をどこから数えるかは、賃金の締切日の有無で変わります。締切日がない場合は解雇通知日の前日から遡り、締切日がある場合は通知日直前の締切日を起点として3か月分を集計します。締切日を基準にするのは、実際の支払い単位と合わせるためです。

【実践メモ】

給与明細や就業規則で「賃金締切日」を確認してください。「毎月20日締め」と書いてあれば、解雇通知日直前の20日が起算点になります。まず締切日を確認するのが最初のステップです。

賃金には「固定」と「変動」がある

毎月同じ金額が支払われる賃金を「固定給」といいます。
基本給や役職手当などが該当します。

月によって金額が変わる賃金を「変動給」といいます。
残業代や休日出勤手当などが該当します。

この2種類の締切日が異なる場合の計算が特に重要です。
次のセクションで詳しく説明します。

締切日が種類によって違う場合の計算方法

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給与計算表を確認するイメージ

固定給と変動給で締切日が異なる場合、なぜ別々に計算するのでしょうか。それぞれの賃金は異なる締切日を持っており、同じ「直前3か月」でも対象となる期間が変わるからです。ひとまとめにして計算すると、どちらかの締切日にしか対応できず、正確な平均賃金が出ません。

計算の考え方

固定給と変動給のそれぞれについて、直前の締切日から3か月分を個別に計算します。
そして、両方の賃金合計を合算した上で、総日数で割ります。

📌 ポイント:賃金の種類ごとに「直前の締切日」を個別に判断することが重要です。締切日が違えば、起算点となる日付も変わります。

計算例で確認してみよう

解雇通知日が3月15日の例で確認しましょう。

【固定給】毎月20日締切の場合
直前の締切日 → 2月20日

期間 固定給 日数
11月21日〜12月20日 250,000円 30日
12月21日〜1月20日 250,000円 31日
1月21日〜2月20日 250,000円 31日
合計 750,000円 92日

【変動給(残業代等)】毎月末締切の場合
直前の締切日 → 2月28日

期間 変動給 日数
11月1日〜11月30日 45,000円 30日
12月1日〜12月31日 38,000円 31日
1月1日〜1月31日 52,000円 31日
合計 135,000円 92日

計算結果

(750,000円 ÷ 92日)+(135,000円 ÷ 92日)
= 885,000円 ÷ 92日
9,619円56銭(銭未満は切り捨て)

解雇予告手当 = 9,619円56銭 × 30日 = 288,586円80銭

【実践メモ】

直近3か月の給与明細を用意して、固定給と変動給に分けて集計してみましょう。それぞれの締切日は就業規則か給与明細に記載されています。計算した金額が支払われた手当と一致するか確認することが大切です。

⚠️ 注意:時給・日給・出来高払いの方は、別途「最低保障額」という下限との照合が求められます。上記の計算だけで金額が確定するとは限りませんので、不安な場合は専門家に確認してください。

計算した金額と実際の支給額が違ったら?

労働相談窓口に向かう人のイメージ

自分で計算した結果が、実際に支払われた金額より多かった場合はどうすればいいでしょうか。

不足分は請求できる

差額の支払いを請求することができます。
賃金の時効は原則5年(当面の間3年)です(労働基準法115条)。
解雇から3年以内であれば、不足分を請求できます。

まずは書面で会社に確認する

最初のステップは、会社に書面で確認することです。
「計算根拠を教えてください」と問い合わせるだけで、ミスが発覚することもあります。

口頭ではなく、メールや書面で記録を残してください
後で交渉や請求をする際に、やり取りの記録が重要な証拠になります。

✅ やること:解雇通知書・給与明細3か月分・会社とのやり取りの記録をまとめて保管してください。証拠が揃っていると、後の交渉や相談がスムーズになります。

会社が対応しない場合は外部機関を活用する

会社に確認しても対応されない場合は、外部機関を活用しましょう。

  • 労働基準監督署:無料で相談できる行政機関です
  • 労働局のあっせん制度:話し合いで解決を図る制度です
  • 弁護士・社労士への相談:請求額が大きい場合は専門家が力になれます
📌 ポイント:労働基準監督署への相談は無料です。「解雇予告手当の計算が正しいか確認したい」と伝えれば、担当者が対応してくれます。

よくある疑問 Q&A

Q: 給与が月によってバラバラでも計算方法は同じですか?
A: 基本の計算方法は同じです。直前3か月の賃金合計を総日数で割って平均賃金を求めます。ただし、時給・日給・出来高給の場合は最低保障額との比較が必要な場合があります。不安な場合は専門家に確認しましょう。
Q: 会社が賃金締切日を設けていない場合は?
A: 締切日がない場合は、解雇通知日の前日から暦日で3か月を遡って計算します。その期間の賃金合計を総日数で割った金額が平均賃金になります。
Q: 解雇予告手当はいつ支払われるべきですか?
A: 解雇の意思表示と同時か、それ以前に支払われる必要があります。「後で払います」という約束は原則として認められません。通知を受けた際に手当が支払われているか確認してください。
Q: 試用期間中でも解雇予告手当は必要ですか?
A: 試用期間が14日以内の場合は解雇予告は不要です。ただし、14日を超えた後は通常の労働者と同じように、30日前の予告または手当の支払いが必要です。

チェックリスト

確認項目 チェック
解雇通知書を受け取り、日付・解雇日・理由を確認した
直前3か月の給与明細を保管している
固定給と変動給それぞれの締切日を確認した
平均賃金を自分で計算した
計算結果と実際の支給額を比較した
差額がある場合、会社に書面で確認した

すぐやること 3 つ

  1. 直前3か月分の給与明細を探して保管する
  2. 就業規則か給与明細で、固定給と変動給それぞれの締切日を確認する
  3. この記事の計算式を使って、自分の平均賃金を計算してみる

まとめ

  • 解雇予告手当は「30日分以上の平均賃金」。労働基準法で定められた権利です
  • 平均賃金は「直前3か月の賃金合計 ÷ 総日数」で計算します
  • 固定給と変動給で締切日が異なる場合は、それぞれ別々に計算して合算します
  • 計算が間違っていれば差額を請求できます(時効は原則5年・当面3年)
  • まず自分で計算し、差額があれば書面で会社に確認しましょう

突然の解雇で受け取るべきお金を正確に受け取ること。
それは、あなたの生活の安定と将来を守るための、あなた自身の正当な権利です。

※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

Photo by Wesley Tingey on Unsplash

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