「連続して何日も休みなく働かされている」「深夜残業が当たり前になっている」——そんな状況に置かれている労働者に、大きな動きが出てきました。
労働基準法が約40年ぶりに大きく改正される見通しです。連続勤務の日数制限や、勤務と勤務の間に一定の休息時間を義務化する「勤務間インターバル」などが議論の中心です。
詳細は出典:Works Human Intelligence「労働基準法改正」コラムをご参照ください。社会保険労務士として、この改正が労働者にとって何を意味するのか解説します。
そもそも今の労働基準法、どこが古いのか
現行の労働基準法は1987年に大きく改正されたものが骨格になっています。つまり、バブル景気の時代に設計されたルールが今も動いている状態です。
当時と今では、働き方が大きく変わりました。深夜にメールが届き、休日でもスマホで仕事をする。そういう境界線のあいまいな働き方には、昭和のルールでは対応しきれません。
今回の改正議論では、さらに踏み込んだ規制が検討されています。代表的なものが2つあります。
①連続勤務日数の制限。現行法では週1日の休日が義務(または4週4日)とされていますが、「最大何日連続して働かせてよいか」の上限は明示されていません。
②勤務間インターバルの義務化。これは仕事が終わってから次の仕事が始まるまで、最低○時間あけなければならないというルールです。「インターバル」とは「間隔」のことです。
勤務間インターバルの義務化は、労働者にどう関係するか
たとえば深夜2時まで残業して、翌朝8時に出社する。これは6時間しか間隔がありません。睡眠も取れない状態です。
勤務間インターバルが義務化されると、「最低11時間は休息を確保しなければならない」といったルールが設けられることになります。11時間が一つの目安として議論されています(EUでは現在、11時間の勤務間インターバルが義務)。
一方で、会社側の事情も理解しておく必要があります。特に医療・介護・物流など、深夜や早朝が必須の業種では対応コストが増します。中小企業には猶予期間が設けられる可能性があります。
改正がどれだけ労働者を守るかは、適用除外の範囲と罰則の強さで決まります。「努力義務」止まりにならないかが、注目のポイントです。
改正前から、自分でできることはある
法律が変わるのを待つだけが選択肢ではありません。今の法律でも使える権利が既にあります。
まず、残業の記録を残すこと。出退勤の時刻を自分でメモする習慣をつけてください。タイムカードや入退室ログがない職場でも、スマホの写真やメモアプリで記録できます。
次に、2019年改正で導入された残業上限規制(原則月45時間・年360時間)はすでに全企業に適用されています。自分が上限を超えていると感じたら、労働基準監督署に相談できます。
よくある疑問 Q&A
- Q: 改正はいつ施行されるのですか?
- A: 現時点では審議中です。国会での審議・成立後、施行まで一定の準備期間が設けられるのが通例です。最新情報は厚生労働省の公式サイトで確認してください。
- Q: 勤務間インターバルは全員に適用されますか?
- A: 現在の制度は大企業への「努力義務」にとどまっています。義務化された場合でも、医療・介護など一部業種は猶予や適用除外になる可能性が高いです。議論の動向を見守る必要があります。
- Q: 今の職場が改正後も守らなかったらどうすればいい?
- A: 労働基準監督署への申告が基本的な手段です。証拠として、始業・終業時刻の記録を手元に残しておくことが重要です。
すぐやること
- 自分の出退勤時刻を毎日記録する。紙のメモでも、スマホのメモでも構いません。
- 今の残業時間を月単位で合計してみる。月45時間を超えていれば、すでに現行法でも問題になり得ます。
- 厚生労働省の「労働基準法改正」関連情報をブックマークしておく。改正の最新動向を定期的に確認する習慣をつけてください。
まとめ
- 労働基準法が約40年ぶりの大改正に向けて動き出している。連続勤務の制限と勤務間インターバルの義務化が主な論点。
- 勤務間インターバルは「終業から次の始業まで最低○時間あける」ルール。EU基準の11時間が参考値として議論されている。
- 改正はまだ成立していない。ただし今の法律でも残業上限規制(月45時間・年360時間)はすでに全企業に適用中。出退勤の記録を今すぐ始めることが最初の一歩。
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
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