群馬県の塗装会社が、原材料が足りなくなって週休4日に切り替えた。それでも従業員の給料は100%払う、と決めた。ニュースになっている。
結論を先に言う。この会社の対応は、法律が求める水準を大きく上回っている。むしろ手厚すぎるくらいだ。
出典:Yahoo!ニュースによると、中東情勢の影響でナフサ価格が急騰。シンナーが通常の半分しか買えなくなったため、5月から週3日稼働に変更したということです。
では、もしあなたの会社が「仕事がないから休んでくれ」と言い出したらどうなるか。この会社みたいに優しいとは限らない。現役社労士として、休業手当のルールを労働者の側から整理する。
- 休業手当の最低ラインはいくらか
- この群馬の会社がなぜ優良なのか
- あなたが休まされた時に取る具体的な行動
休業手当とは何か?会社都合で休まされた時のルール
会社の都合で労働者を休ませるなら、休業手当を払うのは義務だ。
根拠は労働基準法26条。「平均賃金の60%以上」と決まっている。たとえば普段の月給が20万円なら、休業させた期間について最低でも12万円分は払わなければいけない計算だ。これは恩恵ではなく、法律上の権利である。
「不可抗力なら払わなくていい」というルールも確かにある。だが、その範囲は狭い。大地震で工場が倒壊した、行政から営業停止を命じられた——その程度の、会社の努力ではどうにもならない事態に限られる。
では原材料の値上がりはどうか。違う。仕入れの工夫、取引先の変更、生産計画の調整。会社がやれることは残っている。だから今回のようなケースは会社側の責任範囲に入る。「不可抗力」という言葉で逃げることはできない。
今回の群馬の会社が優秀な理由
給料100%保証は、法律の義務である60%を40ポイントも上回っている。
法律上は60%でセーフだ。それでもこの会社は満額を払うと決めた。減った稼働日のぶんを会社がかぶる、という判断である。
正直に書く。これは珍しい。多くの会社は60%ぎりぎりに抑える。中には「不可抗力だ」と言い張って1円も払わないところもある。そういう現実を毎日見てきた身からすると、この会社の対応は経営者の良心がはっきり出ている。
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あなたの会社が休業手当を払わない時の対処法
休業手当を払わない会社は、労働基準法違反だ。
次のような言葉が出てきたら警戒してほしい。どれも違法のサインだ。
- 「仕事がないから今日は帰っていい」(手当の説明なし)
- 給料を相談もなく一方的にカットされた
- 「うちは不可抗力だから払わない」と言われた
口頭の約束は後で簡単にひっくり返される。だから記録を残す。これだけは先にやっておいてほしい。
雇用調整助成金を会社が活用できる場合
経済的な理由で事業を縮小したとき、会社は雇用調整助成金という制度を使える。国が休業手当の一部を補助する仕組みだ。
この制度を使えば、会社は負担を抑えながら休業手当を払える。
「うちは払う余裕がない」という会社ほど、この制度を知らないことがある。社労士や労働局に相談してみては、と一言提案するだけでも状況が変わるかもしれない。会社のためでもあり、あなたの手当を守るためでもある。
長期化した場合の注意点
休業がだらだら続くと、その先に解雇のリスクが見えてくる。ただし会社は好き勝手に切れるわけではない。「整理解雇の4要件」というハードルを越える必要がある。人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、手続きの妥当性。この4つだ。
よくある疑問Q&A
- Q: 休業期間中に有給休暇は使えますか?
- A: 使えます。労働者から有給休暇の申請があれば、会社は原則として認める必要があります。休業手当より有給の方が給料が高い場合は有給を使う方がお得です。
- Q: 会社が「不可抗力だから払わない」と言っています。どうすればいいですか?
- A: 原材料不足や経営悪化は一般的に不可抗力ではありません。労働基準監督署に相談してください。客観的な判断をしてもらえます。
- Q: 休業手当は60%でも文句は言えないのでしょうか?
- A: 法律上は60%で足ります。ただし、就業規則や労働契約でより有利な条件が定められている場合は、そちらが優先されます。
すぐやること3つ
- 会社との話し合いを録音する – 休業の理由や手当の説明を証拠として残す
- 労働契約書・就業規則をチェック – 休業に関する規定があるか確認する
- 労働基準監督署の連絡先を調べる – 問題があった時にすぐ相談できるよう準備する
まとめ
- 会社都合の休業では平均賃金の60%以上の休業手当が必要
- 原材料不足は基本的に会社の責任範囲内
- 休業手当を払わない会社は労働基準監督署に相談できる
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※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
Photo by Sam Moghadam on Unsplash

