「病気なのに、会社を休んだらクビになるかもしれない」
「診断書を出したいけど、迷惑をかけたくない」
そんな不安を抱えたまま、無理して出勤し続けていませんか?
会社に休職制度があれば、病気を理由に簡単には解雇されません。正しい知識が、あなた自身を守る手助けになります。
この記事では、私傷病休職制度の仕組み・自分の会社の休職制度を確認する方法・入社直後や勤続期間が短い場合の注意点を順に説明します。
休職制度とは?解雇されずに回復期間を確保できる仕組み
業務と無関係な病気やケガで突然働けなくなった場合に、雇用関係を維持したまま一定の期間だけ仕事を免除してもらえる制度が、私傷病休職制度です。回復のための時間を、解雇されずに確保できる仕組みということです。
うつ・精神疾患でも休職は使えますか?
使えます。ただし、条件の確認が必要です。精神疾患の場合、毎日欠勤するわけではないことが多く、遅刻・早退・断続的な欠勤が続くケースがほとんどです。就業規則で「連続〇日欠勤した場合」を休職の条件にしている会社では、こうしたケースに対応できないことがあります。一方、「通常の業務を遂行できない健康状態」を条件にしている会社であれば、うつによる出勤困難でも申請できます。
【実践メモ】
就業規則は、労働者が申し出れば必ず開示しなければなりません(労働基準法89条・106条)。「休職の規定を確認したい」と総務部や人事部に伝えるだけでOKです。会社は拒否できません。コピーを手元に保管しておくと、いざというとき役立ちます。
「自分は休職できるか」を確認する方法
休職を申請する前に、以下の点を確認してください。
会社に休職制度があるか
実は、すべての会社に休職制度があるわけではありません。法律で設置が義務付けられていないため、制度がない会社も存在します。まず、就業規則の「休職」に関する条項を探してみましょう。休職の規定があれば、次の確認へ進みます。
自分が適用対象かどうか
休職制度がある会社でも、全員が使えるとは限りません。「勤続1年以上の社員のみ対象」など、適用条件が定められていることが多いです。入社したばかり・試用期間中の場合は、対象外になっていることがあります。詳しくは次の章で説明します。
休職できる期間の長さ
休職期間は、会社や勤続年数によって異なります。一般的に、勤続年数が長いほど休職できる期間も長くなります。たとえば、勤続2年なら3カ月・勤続8年なら6カ月・10年超なら1年という設定は珍しくありません。自分が何カ月休職できるのか、事前に把握しておくことが重要です。なお、法的には休職期間は解雇予告期間(労基法20条)である30日以上あることが必要と解されています。
入社したばかりで病気になった場合の注意点
入社して間もなく体調を崩してしまった場合、状況が変わります。ここは特に確認が必要なポイントです。
勤続期間が短いと対象外のことが多い
多くの会社の就業規則では、「入社から1年以上が経過した社員のみ適用」と定めています。この場合、入社直後に病気になっても休職制度を利用できない場合があります。
除外規定がない会社では申請できる可能性がある
もし就業規則に「勤続年数に関わらず全員対象」と書かれていれば、話は別です。その場合は、入社間もない社員でも休職を申請できる可能性があります。会社が「まだ日が浅いから認められない」と言っても、就業規則に除外規定がなければ、その主張が通らないケースがあります。
【実践メモ】
入社直後に休職を拒否された場合でも、一人で諦めないでください。社労士や弁護士に就業規則を持参して相談すれば、適用できるかどうかを判断してもらえます。初回無料で相談できる専門家も多くいます。
休職期間が終わったらどうなる?知っておくべきこと
休職制度を使う前に、もう一つ大切なことを知っておいてください。それは「休職期間が終わったあと」のことです。
期間満了後は「自動退職」になる会社が多い
休職期間が終了しても、まだ職場復帰できる状態でなければどうなるでしょうか。多くの会社では、就業規則で「休職期間満了をもって退職」と定めています。解雇ではありませんが、事実上、雇用関係が終了します。これを「自動退職」または「みなし退職」といいます。
休職期間中に確認しておくこと
休職に入ったら、終了日を自分でも必ず把握してください。終了日が近づいたら、主治医と復職の可能性を話し合いましょう。復職が難しい場合は、休職期間の延長を会社に相談することも選択肢の一つです。
【実践メモ】
休職中は、健康保険の「傷病手当金」を申請できます。給与の約3分の2が最長1年6カ月にわたって支給されます。会社の総務部、または加入している協会けんぽ・健康保険組合に申請書を取り寄せてください。
よくある疑問
- 会社が「休職は認められない」と言ってきました。従うしかないですか?
- 就業規則に休職制度があり、あなたが適用対象であれば、会社が一方的に拒否することは難しいです。就業規則の内容を確認のうえ、社労士や弁護士に相談してみてください。
- 入社して9カ月目です。うつの診断書が出ましたが、休職できますか?
- 就業規則の適用条件次第です。「勤続1年以上」が条件の場合は対象外になる可能性があります。一方、適用除外の規定がない場合は申請できることがあります。まず就業規則を確認してください。
- 休職中の給与はどうなりますか?
- 多くの会社では休職中の給与は無給です。ただし、健康保険の傷病手当金(給与の約3分の2)を最長1年6カ月受給できます。申請を忘れずに行いましょう。
- 休職期間が終わりそうですが、まだ復職できません。どうなりますか?
- 就業規則によっては、期間満了で自動退職になるケースがあります。ただし、会社によっては期間延長が認められる場合もあります。早めに会社の人事部や社労士に相談してください。
チェックリスト:休職申請前に確認すること
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 就業規則に休職制度の条項がある | □ |
| 自分が適用対象者に含まれている(勤続期間を確認) | □ |
| 休職の条件(欠勤日数・健康状態の基準)を把握している | □ |
| 最大何カ月休職できるか把握している | □ |
| 医師の診断書を取得している(または取得予定) | □ |
| 傷病手当金の申請方法を確認した | □ |
| 休職期間満了後の扱い(自動退職か否か)を確認した | □ |
休職申請の前にできること
まず、就業規則の「休職」条項を確認してください。会社のイントラネットや人事部で取得できます。適用条件・休職できる期間を必ず確認してください。
次に、主治医に診断書の作成を依頼してください。「休職の申請に使いたい」と伝えれば、必要な内容を記載してもらえます。診断書は申請手続きの出発点です。
そして、不安な点は専門家に相談することを検討してください。社労士や弁護士への無料相談を活用できます。「自分は休職できるのか」だけを確認するだけでも、状況の整理につながります。
まとめ
私傷病休職制度は、病気やケガで働けなくなった際に雇用を維持しながら回復期間を確保できる仕組みです。休職制度がある会社で休職させずに解雇することは解雇回避措置を講じていないものとして解雇権の濫用になる可能性があります(労働契約法16条)。うつなど精神疾患の場合は就業規則の「休職条件」の確認が重要で、入社直後・勤続1年未満は対象外のことが多いですが除外規定がなければ申請できる場合があります。休職期間が終了しても復職できない場合、多くの会社では自動退職となりますが、休職中は傷病手当金(給与の約3分の2・最長1年6カ月)を受給できます。
正しい知識を持つことで、健康・収入・キャリアを守るための適切な対応が取れます。まずは就業規則を確認し、不安な点は専門家に相談することをお勧めします。
※本記事は執筆時点の法令・判例に基づいて作成しています。法律は改正されることがあります。最新の情報や個別のご事情については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。

