【職場のハラスメント】マタハラを受けたときの会社の義務と救済策を社労士が徹底解説

「妊娠しただけなのに、なぜこんな仕打ちを受けるの…?」

妊娠・出産は本来、祝福されるべきものです。しかし、現実には「妊娠を理由に退職を勧められた」「仕事を続けたいのに勤務時間を勝手に減らされた」「上司に『妊婦として扱うつもりはない』と言われた」など、不当な扱いを受けるケースが後を絶ちません。

ある女性労働者も、まさにそんな状況に直面しました。彼女は妊娠を報告した途端、上司Dから嫌がらせを受け、働く環境を奪われてしまったのです。しかし、裁判では訴えが認められ、会社の責任が明確にされました。

「妊娠したら仕事を続けられない」――そんな理不尽な常識は、社会が勝手に作り上げたものにすぎません。本記事では、
✅ 妊娠・出産を理由とした不当な扱いの実態
✅ 「ツクイマタハラ事件」に学ぶ、違法な対応と企業の責任
✅ 妊婦が泣き寝入りせずにできる対抗策

について、社労士が詳しく解説します。

あなたの妊娠・出産は、決して悪いことではありません。むしろ、それをないがしろにしてきた日本社会こそが問われるべきなのです。まずはこの記事を読んで、今できる対策を知ってください。

【あなたは悪くない】妊娠・出産を理由に仕事を奪われる理不尽

「妊娠しただけなのに、どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの?」
そう思いながら、涙を流したことはありませんか?

妊娠・出産をきっかけに、会社から不当な扱いを受ける女性は今も後を絶ちません。
たとえば、

  • 「人手不足だから」と退職を促される
  • 勝手にシフトや勤務時間を減らされる
  • 上司や同僚の態度が急に冷たくなる
  • 「仕事を続けるなんて非常識」と責められる

こうした扱いを受けると、「迷惑をかけているのは自分かもしれない」と自分を責めてしまう方もいるかもしれません。でも、それは違います。

絶対にあなたは悪くありません。

日本では、法律で 妊娠・出産を理由に不利益な扱いをすることは違法 だと明確に定められています。それにもかかわらず、「妊娠したなら辞めるのが当然」といった古い価値観が、いまだに社会の中に根強く残っています。

これは、あなたの問題ではなく 社会の問題 です。
「仕事を続ける権利」は誰にでもあり、それを奪うことは許されません。

もし今、「自分が我慢すればいいのかも」と思っているなら、その必要はありません。
まずは「自分が悪いのでは?」という気持ちを手放してください。
そして、適切な対策を知ることが大切です。

【実際に起きた事例】妊娠を理由に不当な扱いを受けたケース

今回の事例は、ツクイマタハラ事件(福岡地小倉支判 平成28年4月1日判決)で争われた事例です。妊娠を理由に不当な扱いを受けたことが問題となり、加害者だけでなく会社も責任を負う結果となりました。

事件の概要

V(被害者)は、D(加害者)に対し妊娠を報告し、重い物を持てないなどの業務軽減を求めました。しかし、Dはこの要求を1ヶ月以上放置したままでした。

その後、Vが再度業務軽減を求め、できない業務についての不満を漏らしたところ、Dは次のような不適切な発言をしました。

  • 「仕事を一生懸命していない人は働かなくてもいい」
  • 「病気や年齢に関わらず、仕事は仕事で、特別扱いはしない」
  • 「妊娠がどうのこうのは関係ない。改善が見られなければ更新はない」
  • 「妊婦として扱うつもりはない」

その後も、Vに対する業務軽減は実施されず、Vは体調が悪い時には他の職員に業務を代わってもらいながら、機械を使用した入浴介助や車いすの階段昇降を行う送迎業務など、重い業務を続けることになりました。

約3ヶ月後、Vが本部長およびエリア統括と面談した結果、ようやく業務軽減が実施されることとなりました。

会社の対応と裁判の結果

裁判では、Vが不適切な対応により精神的・肉体的に大きな負担を強いられたことが認められました。特に、Dの発言や対応が問題視され、会社にもその責任が問われました。

最終的に、Vに対して適切な対応を取らなかった会社にも、連帯して損害賠償を支払う責任があるとされました。

事例のポイント

妊産婦としての正当な権利

妊産婦であるVは、妊娠に伴い業務の軽減などの配慮を求めました。これは当然の権利です。妊娠や出産は自然なことなので、あなたが求める配慮は正当です。

管理者の不適切な対応

管理者Dは、Vの申し出に対して具体的な措置を講じず、面談時に「妊婦だから特別扱いするつもりはない」と発言しました。このような言動は、社会通念を大きく逸脱しており、Vの人格権を侵害するものです。

企業の職場環境整備義務

裁判所は、妊産婦の健康と安全を守るため、企業や管理者には具体的な対応を取る義務があると認めました。会社は、労働者が安心して働ける職場環境を整える責任があります。

不適切な対応は改善の対象であり、訴える権利がある

この判決は、もし不当な発言や対応があった場合、法的手段で救済を求める権利があることを示しています。あなたは職場で不適切な対応に対して訴える権利があり、自分の権利を守るために行動することが大切です。

これらのポイントから、同じ状況で悩む皆さんに伝えたいのは「あなたは悪くない」ということです。企業には妊産婦の権利と安全を守る義務があります。不適切な対応があった場合は、しっかりと改善を求めていきましょう。

不適切な対応への具体的な対策

もし職場で妊娠や出産に関する不適切な対応を受けた場合、以下の方法で改善を求めることができます。

記録を残す(証拠を確保する)

まず大切なのは、状況を客観的に示す証拠を残すことです。
発言の記録:上司や同僚との会話をメモする(いつ・誰が・何を言ったか)
メール・チャットの保存:業務負担や配慮を求めた記録を残す
診断書の取得:体調への影響がある場合、医師の診断書をもらう

会社の正式な手続きを活用する

多くの企業には、労務部門やコンプライアンス窓口が設置されています。
人事・総務に相談する:「業務の軽減が必要」と正式に伝える
ハラスメント相談窓口を利用:「上司の対応が不適切」と報告する
労働組合がある場合、協力を求める

📌 ポイント

  • 口頭だけでなく、必ず 書面やメールで証拠を残す
  • 相談時は 感情的にならず、事実を冷静に伝える

外部機関へ相談する

社内で解決できない場合は、外部の公的機関を活用しましょう。
労働基準監督署(労働環境が改善されない場合)
都道府県労働局の「雇用環境・均等室」(マタハラの相談窓口)
弁護士・社労士に相談(法的措置を検討する場合)

📌 ポイント

  • 企業が対応しない場合は、 公的機関に申告することで改善を促せる
  • 訴訟を検討する場合も、 事前に弁護士に相談するのが安心

退職・法的措置も視野に入れる

どうしても改善されない場合は、退職や損害賠償請求も選択肢になります。
不当な扱いで退職を余儀なくされた場合逸失利益(給与補償)を請求できる可能性あり
弁護士を通じて、会社に責任を問う

📌 ポイント

  • すぐに退職を決めるのではなく、 まずは改善を求めることが大切
  • 訴訟を視野に入れる場合も、 証拠を確保し、専門家のアドバイスを受けることが重要

まとめ

妊娠・出産に関する職場の対応が不適切な場合、
証拠を残し
会社の適切な窓口に相談し
外部機関のサポートを活用する
ことが大切です。

「私が我慢すればいい」と思わず、 正当な権利を守るために行動することが重要 です。もし悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに、相談できる窓口を活用しましょう。

あなたは悪くない。安心して行動して大丈夫です。

妊娠・出産はごく自然なことであり、それを理由に職場で不当な扱いを受けるのは決して許されることではありません。今回の判決が示すように、企業には 妊産婦が安心して働ける環境を整える義務 があります。

もし、あなたが今 「私が我慢するしかないのかな…?」 と悩んでいるなら、そう思わなくても大丈夫です。

🌿 あなたは悪くありません。
🌿 職場には配慮する義務があります。
🌿 不適切な対応は変えられます。

できることから 少しずつ でいいので、行動してみてください。
まずは 証拠を残し、信頼できる人に相談すること から始めてみてはどうですか。
あなたが安心して働ける環境を作るために、できることはきっとあります。

どうか一人で抱え込まず、声をあげてください。
あなたには 守られるべき権利がある ことを忘れないでください。

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